「Aooo」レビュー:赤い公園のDNAを感じる、注目のオルタナティブバンド

Aooo

新しいバンドを聴くとき、その音に「懐かしさ」と「新しさ」が同時に宿っているとワクワクする。Aooo(アウー)はまさにそんな存在だ。
元・赤い公園のボーカル石野理子を中心に、すりぃ、ツミキ、やまもとひかるといった気鋭のアーティストが集結したこのバンドは、2024年の結成以来、インディーシーンの中でも一際強い光を放っている。

■ Aoooとは

Aoooは、音楽のジャンルや役割の境界を軽々と飛び越えていくバンドだ。
メンバーはそれぞれ別の音楽的ルーツを持ちながら、「Aooo」という場所で化学反応を起こす。ロック、ポップス、エレクトロ、オルタナティブ──それらを混ぜ合わせながらも決して散漫にならず、一曲ごとに新しい世界観を提示してくる。

結成の経緯は、石野理子が音楽的な新たな挑戦を求め、個性豊かな仲間たちを集めたことに始まる。ライブやレコーディングを重ねるごとに、4人の関係性は深まり、それぞれの作曲・作詞スキルを最大限に生かせるバンドとして完成していった。

さらに、AoooはEight-JAMでも取り上げられたことで、音楽ファンの間で注目を集めた。番組では、各メンバーの多才さと楽曲の多様性が紹介され、放送後にはSNSで「赤い公園を彷彿とさせる新バンド」と話題になった。

■ メンバー紹介

石野理子(ボーカル・作詞・作曲)
元・赤い公園のボーカル。独特の声質と感情表現で、Aoooの世界観の中心を担う。作詞・作曲ともに手がけ、多彩な曲調を支える存在。石野は特に歌詞の世界観作りに定評があり、個人的な体験や感情を巧みに音に乗せる。

すりぃ(ギター・作詞・作曲)
緻密なギターアレンジと作詞作曲のセンスで、バンドに多様な表情を与える。ポップからオルタナティブまで幅広く対応。影響を受けたバンドとして、椎名林檎やサカナクションを挙げており、エレクトロサウンドや変拍子のアレンジにも挑戦。

ツミキ(ドラム・作詞・作曲)
リズムの強弱や変化を自在に操り、バンドのグルーヴを支える。作詞・作曲も手がけ、独自の視点で楽曲にアクセントを加える。リズム面では、日本のプログレや海外のインディーバンドからも影響を受け、ドラムだけで曲の表情を変える技術を持つ。

やまもとひかる(ベース・作曲)
力強くも繊細なベースラインで楽曲を支え、作曲でも独自の感性を発揮。バンドのサウンド全体のバランスを整える。ジャズやファンクの要素も取り入れるなど、Aoooのサウンドに柔軟性をもたらす。

■ Aoooの特徴

Aoooの最大の特徴は、メンバー全員が作曲を手がけられること。さらに、石野理子・すりぃ・ツミキの3人は作詞も担当しており、それぞれの言葉とメロディが絶妙に絡み合う。

その結果、Aoooの楽曲は一つのジャンルに収まりきらない多様さを持ち、ポップで繊細なメロディから、エッジの効いたオルタナティブサウンドまで幅広い表現を可能にしている。この「多方向からのクリエイティブ」が、Aoooを単なるバンドではなく、“音楽的実験場”のような存在にしているのだ。

■ 赤い公園のDNAを感じる理由

ボーカル石野理子の声を聴くと、どうしても思い出してしまうのが赤い公園。あのバンドが持っていた繊細さと衝動の共存、そして“ポップなのに一筋縄ではいかない”感覚が、Aoooの楽曲にも息づいている。

ただしAoooは、そこに令和的なデジタルセンスと個の際立ちを融合させ、より立体的でカラフルなサウンドに進化させている。いわば「赤い公園が今も続いていたら、こんな音になっていたかもしれない」と感じさせる、新世代のオルタナティブだ。

■ 今後への期待

まだ始動から間もないAoooだが、すでにリスナーや業界内で高い注目を集めている。音楽性の幅広さに加えて、メンバーそれぞれが強い個性と発信力を持っているため、今後の展開次第では2020年代後半のシーンを牽引する存在になる可能性が高い。

ライブでは、観客とのインタラクションを重視した演出が魅力で、SNSには「初めて観たけど引き込まれた」「音のバリエーションがすごい」といったコメントが多数投稿されている。Eight-JAMでの紹介も追い風となり、オンラインでの配信ライブの視聴者数も増加中だ。

■ Aoooを初めて聴くなら押さえたい3曲

1. 「イエロートイ」

Aoooの代表曲の一つで、ギター・ベース・ドラムが有機的に絡むエネルギッシュなナンバー。作詞は石野理子、作曲はツミキが担当。楽曲はアップテンポで、ライブでも盛り上がること間違いなし。歌詞には友情や葛藤の要素が描かれており、聴く人に共感を与える。

2. 「魔法はスパイス」

1st EP『Fooocus』に収録、アニメ「ウィッチウォッチ」のエンディングテーマにも起用。すりぃ作詞・作曲のポップでキャッチーなサウンドは、初めて聴く人でも親しみやすい。歌詞には日常の小さな冒険や、ちょっとした非日常感が表現され、Aoooらしい遊び心を感じられる一曲。

3. 「サラダボウル」

アルバム『Aooo』収録曲で、多様な価値観や音楽性が混ざり合う“サラダボウル”のようなサウンドが特徴。作詞は石野理子、作曲はやまもとひかる。ポップな面とオルタナティブな面が絶妙に融合し、バンドの幅広い魅力を体感できる。歌詞では日常の些細な出来事や心の揺れを丁寧に描き、聴き手を引き込む。

■ どんな人におすすめ?

Aoooのサウンドは、赤い公園が好きな人はもちろん、以下のようなバンドや音楽を好む人にも刺さる:

  • Perfume:電子的アレンジやポップ感に共感できる
  • サカナクション:オルタナティブなエッジを楽しめる
  • Base Ball Bear:エモーショナルでポップな歌詞やメロディが好き
  • 椎名林檎:独創的でジャンルを飛び越えるアレンジを楽しめる

Aoooの音は、どこか懐かしい。けれど、間違いなく新しい。赤い公園が築いた音楽の地層の上に、新しい時代の芽がしっかりと育っている。これから先、彼らがどんな花を咲かせていくのか——見逃せない。

💡 この3曲を聴けば、Aoooの多様な音楽性メンバー全員の作曲力・作詞力による幅広い世界観を十分に体感できる。Spotifyでプレイリスト化して聴くと、初めてでも効率よく楽しめる。

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